大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

浦和家庭裁判所川越支部 昭和58年(家日)563号 審判

申立人 小笠原茂和

主文

本件申立を却下する。

理由

一  本件異議申立の理由の要旨は、

1  昭和五六年(家イ)第五七三号嫡出子否認調停事件について、昭和五八年五月二六日、昭和五七年五月六日の調停において申立人小川敏一と相手方小川信男の法定代理人親権者母間に成立した合意に基づき相手方が申立人の嫡出子であることを否認する旨の審判がなされた。

2  上記審判の理由中に、相手方小川信男は相手方親権者母小川ミツ子と小笠原茂和間の子供である旨の認定がなされているが、この認定は、小笠原茂和に全く攻撃防禦の機会を与えないでなされた真実に合致しない認定であるから本件申立をする。

というのである。

二  そこで検討するに、家事審判法第二三条の審判に対し異議の申立をすることができる利害関係人とは、その審判の効力によつて、再び審判又は訴の方法によつて同一事項を主張することができる自己の権利を阻害されるものをいうと解すべきところ、本件申立人は、昭和五六年(家イ)第五七三号嫡出子否認調停事件における申立と同一の事項を主張する権利を有するものでないことは明らかであるから家事審判法第二三条の審判に対し異議の申立をすることができる利害関係人にはあたらない。

よつて、本件異議申立は不適法であるから、主文のとおり審判する。

(家事審判官 一宮なほみ)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例